2016/11/10
トランプ大統領を求めていたアメリカ人達の声
「トランプ大統領」を求める
米国民の知られざる声
「私、トランプがテレビでは見せない、ソフトで人間的な面を実際に見たことがあるの」
そう語るのは、カリフォルニア州クレアモントに住むジュディ・ニール(68歳)だ。
そう語るのは、カリフォルニア州クレアモントに住むジュディ・ニール(68歳)だ。
地元の共和党クラブの長を務める彼女のイチオシはテッド・クルーズ候補だが、トランプがもし共和党の指名を受ければ「100%のエネルギーを注いでトランプを大統領にする」と断言する。ニールは、違法移民によって殺害されたアメリカ市民を追悼する会「We The People Rising」の集会でワシントンDCを訪れたとき、トランプに初めて会った。
「ギャング活動や飲酒運転する違法移民に殺された市民が、実は全米にたくさんいるんです。そんな犠牲者を追悼するキルトを縫って展示していたら、トランプが『これは何?』と近づいてきたの」
トランプは犠牲者の家族に歩み寄り、キルトを手に取り、彼らの話に耳を傾けたという。
「アメリカの大メディアは、違法移民の権利を保護拡大するための報道にはすごく熱心。でも、違法移民に命を奪われた犠牲者の家族の苦しみにスポットライトを当てることは、ほとんどない。トランプは、オバマ政権にも無視されているそんな声をちゃんと聞いてくれた」
イスラム教徒の入国阻止を支持
テロの記憶に今も怯える60代女性
ジュディ・ニール
カリフォルニアで生まれ育った彼女が住む街は、昨年12月、14人が射殺されるテロ事件が起こったサンバーナディーノ地区から車で40分ほどの場所にある。地元民の間には、近くで起きたテロのショックがまだ色濃く残る。「パキスタンから来た“妻”に影響されてジハードを計画した人間が、次々と罪もない市民を殺した」とニールは言う。
事件以来、彼女にとって、IS(通称イスラム国)はもはや、遠いシリアの話ではなくなった。街にあるイスラム教のモスクがFBIのウオッチリストに載っているという噂を聞くたび、「もしかしたら、次のテロに向けて信徒の洗脳が進んでいるかもしれない」と想像するだけで恐怖だという。
「移民でイスラム教徒の一家がウチの近くに住んでいるけど、彼らだってテロが怖いと言っている。テロリストが普通のイスラム教徒のふりをして入国してきたら見分けがつかない。人道主義を振りかざして外国人を入国させるのはいいけど、次に殺されるのが私の家族ではないという保証は一体誰がしてくれるの?」
そんな彼女は、トランプの「イスラム教徒を米国に入国させるな」という発言を支持するという。
「宗教を差別するつもりはない。米国は宗教の自由が建国の源だから。でもイスラム過激派のテロリストが入国できてしまう現在のシステムは、危険すぎる」
ニールは自宅に拳銃を常に配備し、射撃訓練も受けてきた。特にテロ後は、万一のことも考えて、子どもたちや家族を誘って射撃練習場で練習するようになった。拳銃を携帯するための州の許可も申請中だ。
「私は13人の孫がいるおばあちゃんだけど、射撃の腕はちょっとしたもの。銃を所有していることに、大きなプライドを感じているわよ」
彼女が共和党の活動に積極的に関わるようになったきっかけは、2008年のリーマンショックの最中、共和党の議員の無策な対応に我慢ができなかったからだという。
「オバマがAIGや銀行に巨額の税金を注ぎ込んで救済する中、倒産していく中小企業には何の援助もなかった。それを共和党議員たちは黙って見ているだけ。情けなかった」
共和党エスタブリッシュメント――。これは、彼女が何度も口にした言葉だ。共和党の権力中枢、エリート層を指す。そのエスタブリッシュメントに愛想を尽かした彼女は、スモールビジネスの税制優遇措置の拡大を求めて、地元でティーパーティを立ち上げる活動にも積極的に関わってきた。彼女と夫が経営する建設会社は不況の煽りを受け、収入も減った。
「リーマン不況の元凶を防げなかった大統領のブッシュにも怒りを感じたけど、オバマ政権になってその10倍悪くなった」
自らを筋金入りの保守派だと言うニール。だが、10代の頃、投票したかったのは民主党のジョン・F・ケネディだった。
「すごくハンサムだったから」
選挙権を得てからは、一貫して共和党候補に投票してきた。なかでも彼女の永遠の憧れは、レーガン前大統領だ。ロサンゼルス郡の警官だった彼女の父親が、レーガンの警備に当たったときに使った車のライセンスプレートは家宝として大切に取ってある。
ある世論調査では、アメリカ人有権者の約半数が「もしトランプが大統領になったら恥ずかしいと思う」と回答したという。これをどう思うかについて聞いてみると、ニールは「ヒラリーが大統領になる方がよっぽど恥ずべきことだ」と断言する。
「トランプはナルシストで、傲慢だけど、決してマヌケではない。必ず賢い人間を要職に抜擢するはず。ヒラリーはリビアの米国人大使を見殺しにしたし、とにかく嘘つきだから決して信用できない」
民主党・クリントン派 デヴィッド・ゴンデイッド
彼が危惧しているのは、トランプ支持を公言する層ではない。外では口には出さないが、実はトランプに投票するという、いわば、サイレントマジョリティのトランプ支持者だ。
「その多くが、年配の白人女性、つまり私の母やその友だちなんだ。メディアは怒れる白人男性ばかりをトランプ支持者と強調するけど、違う。たとえば、年配のアメリカ人白人女性の戦争に対する考え方は、第二世界大戦の戦火を生き抜いた同じ年代のドイツ人女性の考え方とは180度違うんだ。自分の住んでいる街が爆撃されず、自身が兵隊に取られることもなかった彼女たちは、戦争にそれほど嫌悪感を持っていない場合もある。つまり、テロの恐怖を使って、タカ派や右派が一番取り込みやすい層なんだよ」
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「オバマを継承するヒラリーはダメ
トランプが指名を得たら必ず勝たせる」
トランプが指名を得たら必ず勝たせる」
「オバマケアのせいで、LAのレストランがどんどん潰れてるんだ」
カリフォルニア州、ロサンゼルス近郊のレドンド・ビーチに住むビル・シュミッドの声には怒りが籠もっていた。
ロサンゼルス全域のレストランに食材を卸売りする会社でセールス担当として働く彼は、オバマケアが施行されてから、レストラン業界が大きな打撃を受けてきたと語る。レストラン業界では、週に30時間以上働く社員が、フルタイム社員とカウントされる。フルタイム社員を50人以上雇っている企業は、オバマケア施行後、社員に医療保険を提供することを義務づけられた。
医療保険を提供しない場合には罰金が課せられる。そのため、多くのレストランがフルタイム社員を減らし、パートタイム社員を増やして保険を提供する義務を逃れるか、規定通りに社員に保険を提供して、そのコストを負担するという選択肢を迫られた。
「フルタイムのスタッフがパートタイムに格下げされ、収入が激減したケースを何度も見てきた。料理の価格を値上げして、客にオバマケアのコストを払わせる手もあるが、それをやれば当然、値上げしない店に客をごっそり取られてしまう」とシュミッドは言う。
さらに、ロサンゼルスの最低時給は2020年までに9ドルから15ドルへと段階的に引き上げられる。これもレストランオーナーにとっては、頭の痛いコスト増となるため、人員削減をせざる得ない企業が増える。「オバマの社会主義は、レストランオーナーも労働者も幸せにしないどころか、彼らの将来を潰そうとしているとしか思えない」とシュミッドは言う。
共和党員の彼が支持するのは、テッド・クルーズだ。だが、トランプが共和党の指名を勝ち取れば、トランプに投票して必ず勝たせる、と答えた。
子どもでも理解できる
発言のわかりやすさが最大のウリ
シュミッドがクルーズとトランプを押すのは、不法移民には救済策を決して与えないと彼らが強調する点に共鳴するからだ。「その点、穏健派のマルコ・ルビオでは弱い。トランプの発言のわかりやすさ、シンプルさ、それが彼の最大のウリだ」という。
「トランプの言うことは13歳の少年でも完璧にわかるような内容ばかり。誰でも理解でき、単純だ。だがその単純さに、多くの人間が心地良さを感じていることは否定できない」
ジェブ・ブッシュが低い支持率しか取れず、戦線離脱したことについては、「共和党のエリート家系の出であれだけ惨敗したことが、国民はエスタブリッシュメントをもう求めていないことの証明だ」という。
現在73歳で現役で働くシュミッドにとって、生涯現役でビジネスに邁進することは当たり前のことだ。今ではLA中のレストランに友人がいるし、働くのが心底好きだと言う。
「リーマンショックで自分が持っていた株券の価値は半分になった。たまたま株以外でもコツコツ資産を形成してきたから、何とかなったけど、自分と同年代の友人の多くは引退を撤回して、再び働いている。そうしないと生活できないから」
スモールビジネス推進派の彼は、米国のGDP(国民総生産)の成長率が2%台で停滞している元凶は、オバマ政権のビジネスへの規制の厳しさのせいだという。
「本来なら6%から8%の伸びを見せてなきゃいけないのに、こんな低い成長率なんてあり得ない失敗だ。企業のCEOだったらとっくにクビになってるよ」
実業家のトランプならば、いくら政治の経験がなくても、こんな経済状況には決してしないとシュミッドは言う。
「トヨタがカリフォルニアからテキサスに移転した。民主党の州から共和党の州に次々とビジネスが移転していく。金の流れは嘘をつかない。これがオバマ政治のなれの果てだ」
ソーシャルメディアに通じた若者らが民主党のバーニー・サンダース候補を後押しするなか、共和党の弱みはソーシャルメディアを使いこなせないことだと言われている。その点を70代のシュミッドはこう分析する。
「確かに、ソーシャルメディアには共和党は弱い。だが、若者だってリストラで自分の仕事がなくなり、収入が増えず、腹が空いてどうしようもなくなれば、税金ばかり無駄遣いして肝心の経済を立て直さない大きな政府に、三行半を叩きつけるはずだ」
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とてつもない金持ちになりたい
トランプは「富」のロールモデル

カジノの街、ネバダ州ラスベガス――。「TRUMP」とロゴが入った金色のホテルがそびえる。
「トランプは富のロールモデル」と語る、カメラマンのビクター・スネークマン
合衆国の国旗をヘビーメタル風にアレンジしたファッションに長髪で現れたのは、ラスベガス在住の共和党員で、カメラマンのビクター・スネークマンだ。どくろマークの指輪をした手には、合衆国国旗の柄と共和党のシンボルマークであるゾウ柄のタトゥーが、色鮮かに彫り込まれている。
トランプ大統領が誕生する日を心待ちにしているという彼は、トランプを支持する理由をこう語った。
「自分もトランプみたいに、いつか大富豪になりたい。トランプが手に入れているものを自分も全部手に入れたい。彼はロールモデルなんだ。事業を成功させて、たくさんの雇用を作り出したい。そして、自分で稼いだ金を政府に使われたくない」
とてつもない金持ちになりたい――。そんな欲望をストレートに語る彼にとって、金ピカのトランプホテルは憧れの象徴だ。トランプなら、レーガン時代のような「強く素晴らしいアメリカ」を取り戻してくれると信じているという。そんなスネークマンが一番恐れているのは、ヒラリーが大統領になることだという。
「彼女がアメリカを社会主義国にしようとするのも嫌だけど、一番問題なのは、彼女のテロ対策や安全保障対策が最悪だから。CIA長官だったペトレイアスがガールフレンドに機密を漏らしていた疑いで辞職に追い込まれたけど、ヒラリーはペトレイアス以上に機密保持が壊滅的にできない。ベンガジの米領事館襲撃事件で殺された4人のアメリカ人への責任も取っていない」
そしてこう付け加えた。
「ISに殺されたくなければ、ヒラリーではなくトランプに票を入れるべきだ」











